2015/12/30

2016年の米国市場、慎重にならざるを得ない数々の理由 3/5

理由3 危険水域に達した投機性
 
ITバブルの際、わずか3%程の銘柄が相場を牽引していた事実をご存じだろうか。現在の投機的水準は当時ほどではないものの、既に非常に高いところにまで上りつめている。
 
年初には誰も耳にしたことのなかったFANGインデックス(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグルの略)であるが、今ではこれら4銘柄の暴騰振りが経済各紙のヘッドラインを飾っている。
 
ただ、これら天井知らずに見える4銘柄が市場に及ぼす影響については驚愕の事実がある。
 
SP500指数は年初来2%の上昇となっている。しかし、平均で約90%上昇している同4銘柄を除くとSP500指数はマイナス圏へと沈む。ナスダックは年初来9%の上昇も、同市場銘柄であるこれら4銘柄を除くと実に3%近いマイナスとなってしまうのである。
 
本来、「健全」なブル相場では、このように極端なバリュエーションを持つ銘柄が突出したパフォーマンスを演ずることは稀で、これは投機的な値動きに他ならない。
 
 
理由4 収益がピークに達する企業が続々出現
 
3月のレポートでも述べたが、米商務省経済分析局が公表している「企業収益統計」は注目に値する経済指標である。
 
改めて解説すると、企業収益統計(以下、政府統計)はS&P500社の企業収益に先行してピークをつけ、下降し始めることが多い。米企業の収益性と株式市場の両方の天井を告げる初期のウォーニングフラッグとみることができるのである。
 
政府統計とS&P500社の企業収益(以下、企業決算)の大きな違いは、政府統計は、税務申告を行っている全米の全ての企業を対象とした広範囲な統計であり、S&P500社に限定されないことである。
 
また、同統計は税務経理を基に計算されており、より厳格な会計ルールが適用されている。
 
例えば、在庫減損処理や減価償却等は、随時当期費用として処理されることや、会計上のやり繰りによる自社株買いのプラス効果も取り除かれる。
 
よって、全体的な企業経理の健全性、設備投資能力を測り、より安定したマクロ経済を反映する指標となっている。要は、企業決算のお化粧を取り除いた実態に近い企業収益を示していると言える。
 
これに対し企業決算では、企業会計によって内容面、タイミング面である程度「柔軟性」が加味されている。企業があの手この手を使い、合法的な範囲でできるだけ決算を良く見せようとするのは当然である。
 
このため、企業の決算発表は各紙ヘッドラインを彩り、マーケットはそれを素直に反映する。ただ当然、これでは企業の真の姿は雲に隠れ、一たび景気が足踏みを始め企業の収益力が低下し始めると、会計上でやり繰りできる範囲が限られてくる。結果、後になって先送りしていた数値が表に出始めるのである。
 
政府統計が、企業決算や相場天井に先行して下降開始する理由がここにある。
 
では、今日の政府統計は何を伝えているのか。
 
政府統計は過去7回のうち6回、景気後退開始前にピークをつけている。またほとんどのケースにおいて、企業決算より先にピークをつけている。
 
やはり3月時点においては、企業決算は上昇トレンドの中にあったが、政府統計は前年にピークをつけているのである。
 
今日、両指数ともダウントレンドを示し、警鐘を鳴らしている。これらのトレンド反転がない限り、マーケット、そして米国経済そのものに危機が近づいていると言そうである。
 
※旧サイトより抜粋
 
 
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