■株式市場にとって都合のよい大統領は民主党、それとも共和党?
これはいつも興味をそそる議論。そのような事実があるかどうかは別として、今後4年間のマーケットを占う上で投資家には無視できない一大イベントである。
1980年頃までは、マーケットは民主政権の下で高パフォーマンスを発揮すると広く認知されていた。そこまでの52年間では、確かにマーケットは民主党選出の大統領の下でのほうが、共和党のそれに比べ4倍もの高パフォーマンスを収めていた。もちろん、これには「民主政権=支出増=経済政策増」という合理的な説明があってのことである。
その後、レーガン、父ブッシュと共和政権が続いた12年間によって、1952~1992年の範囲に限ってみれば、共和党選出の大統領下で極わずかではあるが、マーケットは好成績を収めている。
その後の90年代のクリントン政権下の「根拠なき」ブル相場(民主)と、それに続くブッシュ政権下の2度のバブル崩壊(共和)で、マーケットのお気に入りはやはり民主政権と見ることができる。2009年にオバマ大統領も民主だが、このときは75年間安値付近までの「売られ過ぎ」な状態にあったため、誰が大統領であってもマーケットは上昇したことが考えられる。
まとめると、1928年から現在までを総合的に見て民主政権は共和政権に比べ2倍以上のリターンを株式市場にもたらす結果となっている。
しかしながら、この統計は「偶発性」に注目すればあまり重要でないことも見て取れる。例えばブッシュ政権下で起こった最初のバブルの下地は、それ以前のクリントン政権下で既に醸成されていたからである。要は、ウォールス街のお気に入りの政権を見る上でいつからいつまでの区切りで見るかによって変わってくるし、これまでにも述べてきた通り、どちらの党がマーケットいいかと言うよりは「大統領選サイクル」のほうがより重要な意味を持っている。
■政治のねじれとマーケットへの影響
選挙結果がでるのはまだ10ヵ月も先のこと。11月の投票日以降、新たな「ねじれ」が起こるだろうか。
一般的に、「ねじれ国会」はマーケットにとってネガティブな印象を与える。そこでS&P指数が開始された1928年以降のデータをもとに、ねじれ国家がマーケット及ぼす影響を検証したところ、興味深いことに意外な結果となった。
「上下両院のねじれ」、「議会と大統領のねじれ」、「ねじれなし」の3つパターンに分けて検証した結果、マーケットのパフォーマンスに明確な差が生じていないことが判明したのである。
■FRBの役割は
歴史的に見ても、FRBが政治の土俵に上がってきてあれこれ言い始めることはない。彼らはそれ以上に経済の健全性や物価の安定に努めている。
特に、大統領選前の数ヵ月間は、金融政策が選挙の焦点になってしまうことで、独立の立場に傷がつかぬよう基本的に主だった政策を打ち出すことはない。
しかし、1913年に今のFRBが発足して以来2度だけ、選挙前の2ヵ月の間に「金利引上げ」という大きな政策変更を加えたことがある。
1980年、FRBボルカー議長が反インフレプログラムを推進していた時と、2004年のグリーンスパン時代、景気が強さを示す中、金利がそれまでの45年間で最低ラインに近づいていた時である。
なお、上の2回は選挙の2ヵ月前だが、S&P指数が始まった1928年以降、選挙前の6ヵ月間で見れば、必要に迫られて利上げを行ったのが10回あり、選挙日から6ヵ月が経過するまでに利上げを行ったのは16回あった。
2016年を通じてFRBは現在、短期金利の正常化を目指している。都合のいいことに、利上げはほぼゼロ付近からの開始であり、影響を心配するレベルに到達するにはまだ相当の時間がありそうだ。
さらに、それに加えて年明け直後のマーケットの値動きや、政治的な思惑等で、市場が考えているほど利上げのペースは堅調に進むことはなさそうである。
2016年1月16日